Apple のリリーススケジュールを予想する

アサイド

Lion

Mac OS X Lion1 は、現時点で Developer Preview 3 までが開発者向けに公開2されており、2月末3からおよそ1ヶ月毎に数字が増えている。6月はじめの WWDC4 では間違いなくリリース日が発表されるであろう。そこで開発者向けに GM Seed を公開して、間を置いて6月末頃に正式リリースか、またはお得意の “Available Today” か。Mac App Store での公開5なら、物理メディアを製産する期間は考えなくて良いからそれも考えられる。反対に物理メディアを製産するなら、完成から1ヶ月程度は間が開いてもおかしくはない。

iOS 5

iOS は開発者向けに Beta バージョンが公開されてから、およそ2ヶ月から3ヶ月後に正式リリースが慣例6であった。従って WWDC で発表及び Beta リリースが行われ、8月から9月に正式リリースと見るのが妥当。しかし Apple のリソースが Lion に大きく割かれているであろうことを鑑みると、もう少し遅れることもまた十分想定される。

iPhone 5

iOS 5 とほぼ同時期なのはまず間違いない。やはり8月から9月か。当然 A57 やカメラのアップグレードはあるだろう。名前については、iPhone 4 や 大きな変更点がなかった iPad 2 など、ハードウェア的なメジャーアップデート毎に数字を増やす方向性に変わっていることから、iPhone 4S などではなく iPhone 5 となる蓋然性が高い。

iPad 3

来年の春くらい。Retina Display8 に対応して今年中という憶測もあるが、Apple ならそういうことはせず、順当なリリースサイクルを守るだろう。

まとめ

  1. Lion: WWDC 開催中か、または6月末。
  2. iOS 5: WWDC で発表、Beta リリース。8月から9月正式リリース。
  3. iPhone 5: 8月から9月頃。
  4. iPad 3: 来年春。

  1. 2010年10月20日、Apple は Special Event “Back to the Mac” にて、次世代 Mac OS X である “Lion” が発表、デモンストレーションがあり、2011年夏にリリースされると予告。 
  2. 2011年5月13日、Developer Preview 3 が公開された。 
  3. 2011年2月24日、最初の Developer Preview が公開された。 
  4. Apple が毎年開催する開発者向けイベント “World Wide Developers Conference” で、2011年は “Join us for a preview of the future of iOS and Mac OS X.” という予告がある。5月31日付けのプレスリリースでは、WWDC 初日の現地時間6月6日午前10時に Apple CEO Steve Jobs 及び幹部らによる基調講演で、Lion や iOS 5 及び iCloud についての発表が予定されている。 
  5. Mac OS X 10.6.8 のデベロッパービルドから、Mac App Store から Lion を入手できると解釈できる内容のリリースノートが見つかっている。 
  6. 2008年3月6日、iPhone OS 2.0 の Beta 版が公開、同年7月11日、正式リリース。また翌年、2009年3月17日に iPhone OS 3.0 の Beta 版が公開され、同年6月17日に正式リリースされている。2010年4月8日には iOS 4 の Beta 版が公開 され、同年6月21日に正式リリースされた。 
  7. Apple A5 はひとつのチップに CPU、GPU、メモリなどをパッケージした SoC (System on a Chip) で、A4 の後継であるこのチップでは CPU 部分がデュアルコア化されるなどの改良が為されている。 
  8. Retina Display は iPhone 4、iPod touch などに搭載されている高精細ディスプレイ。326 ppi という解像度は、人間の目では一つ一つのピクセルを認識できないと謳われている。 

Autocompleting username UI

2006年にサービスが開始されてから怒濤の勢いで普及し、いまや Web 上で誰も彼もが利用している Twitter。そしてサービスを便利に利用するため、世界には数多くのクライアントソフトウェアが蔓延っています。これらを全て把握することは、困難の域を通り越して、もはや不可能と言っても過言ではありません。そんな中、Mac や iPhone、iPad 上で世界的に流行っているクライアントを独断でいくつか選び、メンションを送るときなどに便利なユーザー名補完機能に焦点を当て、その UI を比較してみたいと思います。

Twitter

Twitter Inc.atebitsTweetie を買収し、公式クライアントとして無料で配布しているもので、Mac、iPhone、iPad それぞれに提供されています。

Twitter for Mac version 2.1

Mac App Store から配布されています。最新のバージョン2.1でユーザー名補完機能が搭載されました。“@” を入力するとすぐ下にアイコンとユーザー名のリストが表示され、文字を入力する毎にインクリメンタルに候補が絞られていきます。ここから選択することでユーザー名が入力されます。キーボードからもアクセスしやすいように配慮されていることにも注目です。

Twitter for iPhone version 3.3.4

iPad 版とはユニバーサルで、App Store から配布されています。“@” の描かれたボタンを押すか、“@” を入力することでリストが表示され、やはりインクリメンタルに候補が絞られます。これをタップするとユーザー名が入力されます。

Twitter for iPad version 3.3.4

iPhone 版と同じように動作します。

公式クライアントでは、iOS 版で “@” ボタンによるアクセスが用意されているほかは、Mac 版も含めた3つでほとんど同じように動作しています。また “#” から始まるハッシュタグでも、同様の補完機能が用意されていることも付け加えておきます。

公式クライアントという特性上、Twitter Inc. が想定する Twitter サービスの使い方に沿って各機能が実装されているという印象を強く感じます。

Twitterrific

Twitterrific は Iconfactory が世界で 初めて Mac 向けに作ったクライアントに端を発するソフトウェアです。現在のバージョン4シリーズでは、Mac OS X の Cocoa フレームワークに iOS の Cocoa touch フレームワークを移植することを目的とした、“Chameleon Project” という彼らが主催するオープンソースのプロジェクトによって、Mac 版と iOS 版でコードベースの多くを共有しており、そのためそれぞれの機能や UI はとても似通ったものになっています。またどのプラットホームでも基本は広告付きの無料版であり、Mac では Mac App Store で有料版を購入するか Iconfactory のサイトからプロダクトキーを購入することで、iOS 版ではアプリ内課金で、それぞれ広告を非表示にすることができます。

Twitterrific for Mac version 4.1

“@” に続けてユーザー名を入力することで、Tweet を書き込む欄の下側にアイコンとユーザー名の候補が横に並んで表示され、インクリメンタルに絞り込まれていきます。この横に並んでいるのが特徴的で、ちゃんとスクロールもします。

Twitterrific for iPhone version 4.1

Mac 版と同じく、候補が横に並びます。候補がキーボードのすぐ上に位置していて、選択するときにあまり指を移動しなくても良いように配慮されています。

Twitterrific for iPad version 4.1

iPhone 版と同じ感じです。

Chameleon Project によって、ユーザー名補完についてもプラットホームを問わず同じような UI になっていることが分かります。マウスカーソルを前提にした UI と、タッチを前提にした UI ではそもそもまったく考え方が異なるため、果たしてこの同じような UI であるということがどういった意味を持つのか、十分議論が必要な部分ではありますが、それでも Twitterrific では最低限の調整は加えられていることが伺えます。

また横に候補を並べることにより、ユーザー名の長さが短い場合に表示面積を節約できるというメリットが生まれています。これは副次的に、人間の認知の中でユーザー名の長さがある一定の役割を果たしていると仮定すれば、目的のユーザー名を見つけやすいという効果が得られている可能性があります。

Tweetbot version 1.1

iPhone 向けのアプリを自立するロボットのキャラクターに見立て、次々と独創的な UI と共に送り出してきた Tapbots が挑んだ Twitter クライアント、それが Tweetbot です。鳥型のロボットに見立てられたこのアプリは、これまで同様に特徴的な UI を備えています。全体的なレイアウトは公式クライアントを下敷きとしているように見受けられますが、随所に独特の工夫がみられます。

自動補完の UI は、“@” を入力すると現れる吹き出し風のボタンか、またはキーボードのすぐ上に表示されているツールバー上のボタンを押すことで表示されます。これはモーダルに画面を覆って、インクリメンタルにユーザーを検索するようになっています。

基本的には公式クライアントと同じ構成ですが、“@” を入力したあとにもう1ステップ、ボタンをタップするという動作が加えられています。これは排他的にに検索画面が表示されるため、“@” をユーザー名以外に使いたいとき、すぐに画面遷移しては困ることから、明示的にそれがユーザー名であることを指示するという意味合いがあるのだと考えられます。しかしこれは排他的な検索画面を表示することで起きる問題であり、公式クライアントがそうであるように非排他的な選択肢を提供すれば、1ステップ操作を減らせるのではないかと思われます。排他的に検索画面を表示しなければならない合理的な理由があるとは思えませんし、検索するという UI に何かこだわったのかもしれません。

Designing of UI

ここまで大きく分けて3種類、プラットホームも分けると7種類の UI を見てきました。それぞれ少しずつ、機能の見せ方が違っていました。多くの部分が似通っているのは、この機能自体がある程度その見せ方を規定しているからであると考えられます。逆にこの少しずつの差異は、その開発者が何を考えてデザインしているのかを知る手がかりとなります。

UI のデザインとは、すなわち機能そのもののデザインであると言っても過言ではないでしょう。利用者にとってはその実装に関わらず UI こそが機能です。ですから、ひとつの機能をソフトウェアに追加するとき、機能を実装することよりその UI を実装する方がよほど神経を使うことも少なくありません。デザインとはそれほど重要なことなのです。機能の働きが正しく利用者に伝わるように、そしてそれが不便を強いたりすることのないように。

[blackbirdpie id=”69091587338153984″]